「おいしさ」の錯覚 最新科学でわかった、美味の真実|チャールズ・スペンス

Kindle Unlimitedより。

錯覚と書いてあるが、勘違いしているわけではなく、要は味覚で感じている”美味しさ”というのは
実はただ味覚だけから構成されているものではなく、嗅覚、視覚、触覚(食感、歯触り、舌触り)、聴覚含めた
五感”がフル活用された感覚の成果物であるということ。

同時期に読んでいた↓「あなたの知らない脳 意識は傍観者である」と通じるところがあるが
どちらも我々の意識(本書では美味しさを感じている自分)は世界を直接観測してありのままを見て感じていると
考えているが、実際にはすべての感覚は五感というセンサーが感じ取った電気信号から脳が構築した虚像であるという話。

別に嘘ではないけど、視覚で感じた見ている景色も脳内で処理されたものでオリジナル、無加工のオリジナルではないし、
同様に味覚で感じていると思っている甘さ、しょっぱさ、酸っぱさなどは他の五感による影響が多々あるよってこと。
わかり易い例を出せばレモンとか梅干しを思い浮かべれば酸っぱい感覚がして唾が出てくるとかね。

ざっくり本書の方向性は↑な感じ。

んで、実際の内容といえば科学的に五感がどう作用して美味しさに繋がっているかを

”ガストロノミー(美食)”+”フィジクス(物理学)”⇛

ガストロフィジクス

という造語で表す。

著者紹介兼どういうもんよっていうのを示すならば、
著者であるチャールズ・スペンスは湿気ったポテチを食べさせるときに
ヘッドホンからパリパリッっていう音を聞かせると美味しく感じるという
”ソニックチップ”研究でイグノーベル賞を受賞している。

同様に色が、香りが、食感が”美味しさ”を強化するんだぜって話を様々な実験データを示しながら解説。

また様々ないわゆる超高級店レストランで行われている一見ぶっ飛んでいるようなガストロフィジクスを
駆使した食事風景?様式も紹介されていて面白い。

あとがきに書いてあるが、作中で言われてきたことは割と日本では当たり前だったりすることもあったり。
それこそ和菓子とかって見た目にめちゃくちゃこだわっていたり(視覚)ね。

Kindle Unlimitedで読めるのでぜひ3大欲求である食欲のためにも一読を。
ただし、言っていることはおかしくないけど造語が多かったり新興宗教感があるので、そこは我慢で。


タイトル :「おいしさ」の錯覚 最新科学でわかった、美味の真実
著者   :チャールズ・スペンス
出版社  :KADOKAWA
ジャンル :学術書
評価   :★★★☆☆

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